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▼いまこそ農業!新たな視座で北海道型環境ビジネスを [清里町]

 
オホーツク地域は畑作と酪農が盛んだ。
東に向かうと畑作、北に向かうと酪農が増える。

なかでも清里町は典型的な畑作地帯。
栽培されているのはビート(てん菜)が2,530ha、小麦が2,340ha、ジャガイモ2,310haが主役で、この畑作3品で畑地面積の8割を占める。
一戸当たりの耕作地面積をみると30〜50haという超大規模農家が多い。
家族経営で耕地面積が10haを超える農家の割合は、本州以南なら0.1%に満たない。
北海道においても10〜20ha規模の農家が最も多いということからも、清里町は恵まれた広大な土地を有していることがわかる。
黄金色の小麦畑が風にあおられ波打つ様は壮観だ。

今回、この地で農業を営み4代目という森本敏哉さんを訪ねた。
森本さんは12haの土地で主にホウレンソウと長ネギを育てている。
今年からはハウスによる水耕栽培の小ネギをはじめた。
町内で圧倒的に栽培されている小麦でもジャガイモでもないのはなぜかを訊ねてみると…。

「北海道は日本の食糧基地、なんて言われるが本当にそうだろうか?」
と、森本さんは切り出した。

「北海道」といえば「どこまでも続く丘陵地帯と畑=農業」というイメージが浮かぶ。

「…北海道で育てるといってもジャガイモ、ビート、小麦、豆、牛乳くらいしかない。だけどそれらは、国の干渉作物で自由に売ることはできない。『北海道は日本の食糧基地』とかいうけれど実のところ、1年のうち半年以上は雪で農地が使えず、他府県からの生鮮食糧に頼っているのが実情なんだ」

「…今、こどもの数が少ないし、みんな就職しちゃうでしょ。離農する、担い手がいない。北海道の経営の担い手は50%以上が50代。後継者がいないのが40%以上。全国の農家を回るけど、どこも同じような状況。ご先祖様が汗水たらして耕したんだろうけど、荒地ばかり。一度荒れたらもう作れない…」

現在、清里町には250戸、856人が農業に従事している。10年前と比較すると60戸、約2割が減少している計算だ。

「なにより後継者不足とそれによる高齢化で、土地を拡大しよう、増産しようという意欲がなくなっている。離農したところで、土地の買い手がいないから、価値はどんどん下がり、その余波は地域全体に及んでしまう。金融機関も担保では回収できないことがわかっているから貸し渋る。その悪循環がはじまってる。清里はまだ農地が動いている方だが…俺の若いときと比べると土地の値段は半値になってる」

大規模な農家ほど借入金も嵩む。
今年7月22日付で報道された記事によると、JA士幌町が組合員に対し融資に資材購入の条件をつけるなどしたことが明るみになり、公正取引委員会から独占禁止法に抵触する恐れがあるとして警告処分を受けた。
農業を取り巻く状況はますます厳しい。

「いまの補助金バラ蒔きの農業がいいとは決して思わないが、農業は国策として残さなければならない。国で米をつくらないとドンドン中国に持っていかれる。大豆、綿花、砂糖。農業大国に見えるけど、中国こそが輸入大国だから。お金さえ出せば、食料はどこかから買えるだろうと思ってる人が多いと思うが、そうはいかない状況になりつつある」
▲澱粉用ジャガイモと小麦が清里町の主作物


▲有限会社モリモトではホウレンソウやネギを栽培している

そんな先行きを見つめながら、森本さんは北海道農業に新しい風を生み出そうとしている。

森本さんは、3年前に農協を離れた。
土地を売り、借金を返済して農協を脱退。一戸で農業生産法人、有限会社モリモトを設立する。
農業生産法人とは農地の所有権や賃借権が認められる農業法人。総農家数が減少しつつある中で農業生産法人は増加傾向にあり、2005年現在、北海道内には2,182法人がある。このうち1戸1法人が1,350法人と全体の約6割を占めている。
法人格を取得すると、事務的作業は増えるものの家計と経営が明確に分離され、税制上の優遇措置があったり、人材確保が容易になったりとメリットがある。

「農業したい若い人も実際にはいる。だが、なかなかこういう状況では新規に参入することは難しい。仮に新規就農して初年度うまく収穫までできたとしても、やはり物はベテラン農家には適わない。だから独立するまではある程度収入の保証をする受け皿として、農業会社が必要−」

有限会社モリモトでは、今年、新規就農を希望する町外者を採用した。
就農するとしてもまずは土地が確保が難しい。しかし法人に就職することにより、まずはノウハウを学ぶことができる。また平行して資金を貯めることもできるのだ。

「これだけ寒い北海道にハウスがないのが不思議な話。いままでみたく春になったら田んぼを起こして、秋になったら収穫しましょう、ではやっていけない。家業じゃなくて、企業なんだから」

北海道は広い土地があるから、大規模に大量に生産できる安易に考えがちだが、限られた面積しかなければ品種を厳選し、いかに高く収益を上げられるか考える。
目の届く範囲のだからこそ可能な品質の高さ、出荷のタイミングを図った栽培体制、労力を極力減らす工夫…。農業においても経営戦略が求められている。
森本さんは今後ハウスをヘクタール単位で増やしていくという。

「例えば農業法人なら農業ができない冬期間、本州で土地を借りて、そこで社員が生産して北海道に収めてもらう。そんな仕組みだってできるわけだ。北海道に限らず農業は非常に厳しい状態。だけど、農業はビジネスとしては伸びるよ。ご飯食べない人はいないんだから。やれる人がやったらこれはデカいビジネスになる」

安定した生産環境の確保、収益性の高い作物の選択、先を見越した経営戦略、土地に縛られない農業という発想。
人より先んじ、他者と違う発想で望めば、農業は高収益を生む環境ビジネスになる可能性を秘めている。

(2006年9月記)



▲農業はビジネスになるという森本さん。ハウスでは小ネギが元気に芽を伸ばしていた





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