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▼大地がキャンバス 花と実りのランドスケープタウンきよさと [清里町]
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住宅地のなかに突如として出現する花畑。
百花繚乱、花びら一枚、葉一片がキラキラ光る。
そのボリュームからすると花屋さん…はたまた公園か。
しかしこれが個人のお庭。
清里町ではいたるところで、このような庭園住宅を見ることができる。
家の壁面がバラの花と蔓で華やかに飾られ、ビオラやパンジーのコンテナが玄関前から道路まであふれる。そんな家々がそこかしこにあるのだ。
これらの庭の多くは、「オープンガーデン」として登録されており、定められたマナーを守れば、誰でも庭に入って鑑賞することができる。
オープンガーデンとは、そもそも1920年代に英国ではじまった慈善活動。
個人の庭を一定期間開放して得られる、入場料や軽食などの収益金を社会福祉事業や自然保護事業に寄附する、というもの。
英国では毎年、オープンガーデンの地図や公開日などが記載されたガイド本「イエローブック」が発行され、見学者はそれを片手に庭を巡る。
日本では1995年頃から各地で取り入れられているが、地域づくりの一環として無料で公開されているケースが多い。
見学そのものは無料とはいえ、地域にとっては意外に多くのメリットがある。
例えば、来訪したお客さんが町内で食事を摂るなど経済的効果が期待できること。オープンガーデンは公園と違って自宅であるから目も手も行き届き、安全で質の高い空間を提供できること。庭を持つ町内の家庭同士の交流が自然と図られ、地域に愛着を持つようになること。さらに来場者とガーデンオーナーとのコミュニケーションが自然と成立して、輪が広がり、ともに学びあえること…などなど。
清里町では「花と緑と交流の町」をキャッチコピーに、これまで町民と行政との協働による地域づくりに取り組んできた。
そのきっかけは、1990年からスタートしたニュージーランドとの国際交流だった。
外国人英語講師招聘事業として清里町にやってきた講師との縁で、町は町内の中高生や町民を毎年ニュージーランドへ派遣するようになる。
クライストチャーチに代表される美しいガーデンシティを視察した一行は、花と緑に包まれた町並みの美しさに感動。そのライフスタイルへの憧れを清里で実現しようと考えたのだ。
9月の清里。
清里市街からオホーツク方面に向かう道道中標津〜斜里線を車で走ると、斜里岳を背景にコスモスの花が沿道に咲き誇り、ドライバーの目を楽しませている。
コスモスを植えているのは上斜里地区の地元農家のみなさん。
現在、12戸の農家が上斜里フラワーロード協議会を結成して、幅3m長さ3kmのコスモス畑の手入れをしている。
「1993年からはじめたんだけど…発足2、3年経って結構手間もかかるし、お金にならないから、もうやめようか、という声が挙がったことも…。ところがその頃から徐々に新聞の報道で取り上げられたり賞をいただいたりして、止める機会を失って(笑)…花と緑と交流のまちづくりに若干は貢献しているじゃないかな」同協議会の佐藤昇さんは話す。
ニュージーランド視察から生まれた小さな試みが、いまや「コスモスロード」として定着。
清里町の秋を告げる風物詩となっている。
一方、市街地においては住民組織であるまちづくり運動推進協議会が1996年からガーデン自治会コンクールを開催。住民主体の緑化活動が少しずつ広がっていく。
そんな地道な活動と、官民のパートナーシップが評価され、2002年(平成14年度)には「北のまちづくり賞」知事賞を受賞。2003年(平成15年度)には「全国花のまちづくりコンクール」において「花のまちづくり大賞」(農林水産大臣賞)を受賞。
清里町は花と緑、官民パートナーシップの町として全国的に知られるようになる。
今年8月5日には、清里町で「ガーデンアイランド北海道inきよさとフォーラム」が開催された。
「美しい庭園の島・北海道」をめざす道民運動「ガーデンアイランド北海道2008」の全道リレーフォーラムの一環として催され、道内各地から緑の町づくりに取り組む団体・個人が多数参加した。
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| ▲美しい植え込みに思わず足が止まる。お店にとっては看板効果も |
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| ▲オープンガーデンに参加している柳原麗子さん、樫村信一さん、石井葉子さん(上から) |
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「ガーデンアイランド北海道」とは花のまちづくり、個人のオープンガーデンの輪を北海道中に広げようというキャンペーン。2008年の開催年に向け道内各地で花の町づくりを推進するフォーラム等が催されている。
イベント前日のプレイベント、「きよさと景観・花めぐりバスツアー」には、札幌などから集った46名の参加者が清里町内のオープンガーデンやビューポイントを回った。
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いまや自治会花壇は町内26ヶ所。
プラム並木エリア、北市街エリア、東市街エリア、西市街エリア、メインストリートエリア、16号道路エリア、南市街エリア、フラワーロードエリア、野川道道エリア、神威エリア、札鶴ベニヤエリアと11ヶ所のフラワースポットがある。
また、花の育成管理や街並み景観に配慮した植花に関する知識・技術を要する人材も着実に増えている。
北海道には花の町づくりを支えるフラワーマスターと呼ばれる知事認定のボランティアリーダー制度があり、清里町は全道最多74名のフラワーマスターが登録されている。
清里町も町内外のコーディネーターとして、個人の取り組みをネットワーク化し、花案内図やイベントによる情報発信を積極的に行っており、自治体関係者の視察も増えているという。
「今年は特に道外からの視察問い合わせが多いです。町内には温泉やジャガイモ焼酎工場などもあるので、一泊してゆっくり滞在してもらいたいですね」
2000年からこの仕事を担当、フラワーマスターでもある役場企画財政課の新輪誠一さんは話す。
清里のオープンガーデンは、一人ひとりのささやかな心の開放が地域を大きく変えた最たる事例。
ガーデンとは本来、guard+eden、「囲われたエデン」を意味するが、ここは垣根のない楽園だ。
花とともに暮らす生活に憧れたならニュージーランドの前に、まずは清里町を訪れてみてはいかがだろうか。
(2006年9月記)

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| ▲8月に開催されたガーデンアイランド北海道inきよさとフォーラム。挨拶する花と緑と交流のまちづくり委員会の三上政夫委員長(中)、現場を駆け回っていた清里町役場の新輪さん(下) |
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| ▲空から見ると壮大な整形式庭園のよう。農業地帯は「ガーデン」そのもの |
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・ ここは個人の庭です。公の庭ではありません。
・ 庭主の方へ感謝の気持ちを伝えましょう。
・ 庭主の方は趣味で楽しまれています。不用意な批判などは控えましょう。
・ 指定された公開日以外に訪問するのは絶対止めましょう。(公開したからといって、いつまでもオープ ンガーデンをしているわけではありません。)
・ 大声で話すのは近所の迷惑になります。
・ 当日ヒールの靴はご遠慮ください。
・ 草花を踏まない、折らない、触れない、種を持って いかない。
・『この株(花)欲しいので、分けてください』は厳禁です。
・『外から見てください』の庭を訪問したときは、チャイムを鳴らさないようにしてください。
・ あなたにとっては1回限りの訪問でも、庭主の方は何度目の訪問者なのかを考えてあげてください。
・車のエンジンは切り、駐車は近所迷惑にならないようにして下さい。
・トイレなど庭以外のプライベートスペースの利用はご遠慮ください。
〜OPEN GARDENS of HOKKAIDO〜
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